『Kiyomizu ware exhibition-色絵と手業の清水焼展-』によせて④/工房探訪西條淳子(雅号:寿香)
お寺の桜を横目に、閑静な住宅街の坂道をのぼると西條さんの工房があります。
西條さんの作品は植物が描かれていることが多く、中でも桜がひときわ目をひきます。西條さんの“桜好き“が伝わってきます。
華やかで大胆な金の表現
西條さんの金粉の使い方は大胆です。
金襴手(※)のように下絵の上から金で色を付けるように塗ります。これを「ウス金」と呼びます。
ウス金を入れた後、一度焼き、線と点で花のシベやツタ、葉脈が描かれます。金を盛り上げて描くために、絵皿を傾けて金がたまったところから使われます。
金の下から透ける色彩のコントラストや線の盛り上がりが非常に美しいです。
金粉を使用するにあたって指で練る一手間をかけることで、さらに細かい金泥をつくっていきます。
金を盛り上げて描くために、一緒に混ぜるのはゼラチンを溶かした液です。
指で混ぜて温めて、混ぜて温めて…これを何度も繰り返して15分~1時間、金泥をゼラチンと馴染ませながら細かくします。
これを「指どき」と言います。この方法は昔ながらの方法で、現在では取り入れている職人は少ないそうです。
工程
素焼きをした上に「白盛り」と呼ばれる絵を盛るための絵の具で描きます。
一度焼き、洋絵の具で色を塗り、金を重ねて再度焼く。
この金を重ねてから焼く際、温度が高すぎると金が絵の具の中に沈みこみ、低いと金がはげてしまうため、窯の温度調節は非常に繊細で長年の勘を要します。
色絵付けの魅力を伺う
「華やかで美しく大胆に。昔から桜が大好きで桜が描かれた作品を観て描き方を研究してい
た。見る人が季節を感じ、立ち止まってくれるような作品をつくりたい。」
西條さんのピンクの桜の絵、この記事ではご紹介できないのが残念ですが本当に桜の色をし
てとても愛らしいです。
四季の草花を切り取った絵付けの数々、是非作品を直接ご覧いただきたいです。
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