文化財複製への協力~価値を伝え、守っていくこと~
箔押しの障壁画や襖絵が栄えたのは桃山時代、今より400年以上も前のことです。
純金自体は普遍の金属ですが、もちろん上に乗せた顔料や染料などの絵の具は空気や紫外線に晒せば経年で変化しますし、昔の金箔は今よりもっと純度が低く、金箔自体も含まれた銀や銅の褪色も影響します。
そこで日本の文化財をできるだけ作成時の作者の意図した状態や、所有者が希望する形で後世に残すことができるよう、専門機関の監修のもと、それぞれの材料のプロが連携して行う複製事業が近年あちこちで立ち上がっています。
私たちも「昔からの箔材料や手法を守り、いまの価値観とすり合わせをして共有していく」ということに関して協力・参加させていただいています。
金箔・金泥の再現パートでは、ある程度経年変化が進んだ状態(古色)や手作業の復元では難しい砂子振りなど現地調査に基づいて仕上がりを決定・製作します。
取扱いが難しい材料であるため、単純に金箔の手配だけではなく色合わせや前後工程との調整、納品の際の立ち会いなど課題は意外と多いです。
今回は岐阜県にある「乙津寺」(臨済宗妙心寺派)に収蔵されている、堂本印象の襖絵「超ゆる空」の複製プロジェクトの様子を一部、写真にてご紹介します。