島田耕園人形工房 インタビュー PartⅠ
【人形づくりの信条】
御所人形とは、京都の公家の間で好まれた幼い子供の人形で、その起源は平安時代から神事で使われていた「ひとがた」にあります。お祓いの人形から派生した御所人形の多くは、健やかに賢く豊かな人になるようにと願いを込められています。
御所人形の代表的なものは白く丸い形が特徴的な「天児(あまがつ)や這子(ほうこ)」。赤子の立ち姿やハイハイしている人形です。日本人は赤子の元気な姿に愛おしさや生命力など見た目の可愛さ以上のものを感じ、時には「子供への成長の願い」まで人形を通して見てきました。
今回インタビューと箔の日の箔押し体験を一緒に開催いただく島田さんは160年余り家業として御所人形を作り5代目、人形を作り続けて40数年になられます。
現職に就いたのはここに生まれたことを含めて自分だけの思いではなく、「見えない力に助けられて制作している」という感謝に似た思いを抱かれているそうです。『他力ひとがたとともに』島田さんはこの気持ちを持って人形作りに従事されています。
そして『和様の美意識』を人形に込めることを制作の信条とされています。
時代の流れのなかで、現代の人の心を人形に投影する。赤子にあるものはすべての人に共通するもの。姿や形だけではない精神性を大切にする人形づくり。
島田さんが考える和様の美意識とは?お話を伺うなかで紐解いていきましょう。
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島田耕園人形工房