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超絶技巧「京薩摩」の復活


伏見桃山の城下町を起源とする丹波橋。駅から少し歩いたところに小野さんの工房はあります。

明治時代、首都が京都から東京に移り、京都の人口が減少。そのため京都で暮らす職人たちは海外向けに作品を制作し始めました。華絢爛と国外で評価されていた鹿児島の薩摩金襴手様式を取り入れ発展させたものが「京薩摩」と呼ばれています。

1867年のパリ万博に出展された当時の京薩摩はその繊細な描写で一世を風靡したそうです。しかし、京薩摩は繊細な絵付け故に生産に時間を要するため需要においつかず、工芸から工業に取り替わっていきます。それにつれてその特徴と手描きの技術は衰退し伝承が途絶えてしまいました。現代では当時の作品は超絶技巧の作品として残され「幻の器」と呼ばれています。現在、その技術を復活させようと独学で制作を始められたのが小野さんです。

京薩摩の特徴

京薩摩の特徴として、繊細な描写が挙げられます。中でも色のぼかしや金の線や点は細く濃く盛り上がった線で描かれており、それを再現することが非常に難しいです。現在でも試行錯誤が繰り返されています。
工程は磁器にデザインを黒で骨描き(下書き)し、絵の具で絵付け、低温で焼き、金や白金で線描きをします。さらに低温で焼き、金を定着させて完成となります。
絵の具は洋絵の具を使用されており、鮮やかに描かれています。この上から金泥で線や点を描くことにより、絵が締まり豪華な印象へと一変します。

小野さんの施すデザインは、明治時代のものを取り入れながら、現代風にアレンジをした作品が多いです。当時描かれた文様は少し歪なものが多いため、これらを規則正しくなるよう工夫されています。また、京薩摩だけでなく、当時の金工などの文様も取り入れ、唯一のデザインを施されています。

小野さんに伺う色絵付け(京薩摩)の魅力

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「20年前に京薩摩に出会い衝撃を受け、これをつくりたいと挑戦を始める。制作しているところがないため、実物と本を見て独学で勉強し、道具や材料選びに10年かかった。技術的にも非常に難しく未だに満足できていないが、すごいものを目標にすると到達できない面白さがある。」

 

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